ゲーム+α日記(2009年8月)

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8/31(月)

 演技。
 『ドリームクラブ』で酔っぱらった相方こと「ホストガール」の様子が、実によく演じられていると、声の担当に感心した。
 でもそのとき、演技しているのが声優さんであって演じられたキャラクター当人ではないと、なぜ単純に信じられたのだろう。

 おそらくは、アルコールに酔うことに対して生物的に不可避であるとの思い込みが、そこには働いていたのだと思います。
 しかし、思えばここは産業の一形式なのであり、いつもと挙動の異なる一面を見たいとのニーズに応えるシステムが、構成員に行き渡っていてもちっともおかしくない。
 演技しているのが中の人だけではなかったとしても、不思議はないはずなのです。
 ああ、見たものをそのままに受け止めるピュアさが、考えるほどに失われていく。この作り物だらけの世界で、いったい何を信じろと?

 信じるものを探し求めるなんていう姿もまた、青臭い純真さの表れだろうとは思います。
 ただ、ほろ酔い状態に突入したホストガールに話しかけると、それまでの接客トークとは異なり本人にまつわる話が始まったのには、一縷の光明が見えたように思いました。
 言葉を交わすのが役割なのかと思って尻込みしていたら、いつの間にか相手の愚痴の聞き役になっている。
 はい! それならできます!
 話を聞いて適度に相づちを打つ。それがいかに内容の薄い応答であっても、話し手に能力があれば、先方はそれを引き金に物語を紡ぎ出すことができる。
 少なくとも、酒を媒介にして話が現れたということ、そしてその引き出された話の内容は、交換可能な価値を仲立ちにした話し手・聞き手の立場を飛び越えて、確かにそこにあると信じてもいいのではないか。
 それが楽しみで、毎週末のクラブ通いを続けています。

 ところで、「クラブに行ける週末を迎えたはいいが、どうも手持ちの金が足りない。よし、調達してくるか」と、ゲーム内時間が経過しないことが大きな利点であるLive応援対戦に繰り出し、首尾良く幾ばくかの軍資金をゲットしてきたのですが、この「今すぐ金が欲しい」との望みから始まる行動様式はそのまま借金につながるものだと想像されて、背筋の凍る思いをしました。
 金で解決できる欲望を持ったとき、自分はたやすく、時間を担保にした金策に足を踏み入れるに違いない。いいシミュレーションです。ああ恐ろしい。



8/30(日)

 『ドリームクラブ』のLive応援対戦が楽しいー。
 女の子の歌のリズムに合わせて出てくるお囃子ボタンをタイミングよく押していき、その巧拙を最大4人で競うゲーム。
 
『アイドルマスター ライブフォーユー!』のリズムゲームと同程度に単純ではありますが、いろんな娘のいろんな曲が聴けること、判定がそれなりにシビアかつ数回のミスで上位が望めない厳しさであること、そして上位に入れれば本編で使えるお金が稼げることなど、何周もしてしまう魅力があります。
 そもそもリズムゲームが好きだというのが一番だけれど。このゲームも全員が全曲を歌うのか。頑張っているなあ。

 不満が一つあるとすれば、どんなふうに歌っているのかがろくに見られないこと。
 応援の手を抜けば観察できるけれど、目の前にリズムを取るよう迫ってくるボタンのことを、どうして見過ごすことが出来るだろうか(←目の前で見てもらうよう歌い踊る娘のことは見逃せる不思議)。
 この点は、本編で踊りを堪能した『ライブフォーユー!』とは違います。あちらは見る必要がなかった。あるいは、見なくても様子が分かるくらいには見た、とも言えます。
 うむ、ということは、ボタンに目をやらなくてもすむくらい暗譜すれば、『ドリームクラブ』問題も解決。
 ……そのうち何とかなるだろうか。何とかしたいものです。観察に特化したモードはないのか(←PVでも見ていろ)。



8/29(土)

 お金を払うので私と話をしてくれませんか、とはずいぶん直接的ですが、話を聞かせて、ならともかく、話をすることに対価を払えるほど、自分の中に話のネタはありません。
 それって相手の中に見つけるもので、つまりは他の人に関心がないことの表れなのだから、ほんと困ったものです。
 ボタンを押せば進めるのだから、話しかけるのとは違う。だから大丈夫、きっと楽しめる。

 そう言い聞かせていたら、ネットワーク対戦モードがあると聞いて、一旦は萎えかけたプレイ意欲が湧きました。
 ということで、次は2009年なりのゲームを、と
『ドリームクラブ』を選択。
 話をしたいのかキャラを画面に出して眺めたいのか、見る人によって捉えるレベルに差はありそうでも、ゲームを買うのに一旦お金を払った上でさらにそういう話はしたくない、とのピュアな思いを踏みにじるこの現実の過酷さ。
 いや、ゲームと現実を混同する無邪気さはすでに失って久しいはず。意志を声に出して伝えるのとボタンを押すのとが全く別であるのと同様、このゲーム内通貨には分別を持って臨みたい。

 以上、システマチックに通貨が要求されやりとりされる有様に混乱している、プレイの第一印象でした。
 今のところ言えるのは、お酒を媒介に話を引き出すこのゲームの特徴が、酔っぱらった話し方に強く現れていて、事前に予想していたビジュアル面よりも、むしろ音声面で抜きんでているゲームだということ。
 ほろ酔いどころではない女の子たちのもつれ口調を聞いて、その演技力に感心せずにはいられません。



8/26(水)

 ゲームを遊び終えた後、そのゲームに言及しているサイトを巡るのは楽しみであり、『Silver Moon』にももちろんそれは当てはまる。感心したりにやにやしたりしながら、探しては読みを繰り返していました。
 数が結構あるものだと当時の盛り上がりを偲びながら読んでいた中で一本、他のサイトにない指摘を見つけました。
 登場人物たちの名字が、どれもこれも大阪府「高槻」市の地名に由来する、というもの。

 これには溜息が出ました。どうやら、時代の中での立ち位置づけから逃げられるものではなかったらしい。
 ずっと掌中で弄ばれていたというわけです。ただし当方の場合は、やよい時代に生きるものとして。
 念のため地図で確認を取り、その通りの様子を目の当たりにして、改めて笑いがこみ上げてくるのを抑えられませんでした。発売当時ならその名字から分岐したかもしれない、Tactics方面へ向かう別の選択肢のことも、ちらっと頭に思い浮かべつつ、その可能性を今日性の前にねじ伏せながら。
 やよい、おまえの大勝利だ! いぇい!



8/25(火)

 やってしまったかなあ。予想通りでもあるけれど。
 『Silver Moon』の頑張り娘、やよいのシナリオに注力して再読など試み、あまつさえやよい台詞集などを筆記でこしらえてしまったものだから、やよいのコピーみたいなものがそれらの言葉を心の中で繰り返して、ちょっと騒がしいことに。
 もう少しサンプルが多いと、言葉遣いが組み合わさって新たな発言が生まれ、やよい的人格が気持ちの中に誕生しかねませんが、そうなったら苦労も多かろう。と思うあたりは、ゲーム後半の主人公の、親しくなった女の子を遠ざけようと心に決めるくだりと通じるものがあるように思います。正直なところ、あれにはちょっと共感した。

 そんな素敵なやよい発言の中でも、主人公が告白されるのを覗き見していたのがばれた直後の二人の会話は、最初に読んだときは主人公に倣ってうっかりスルーしてしまったけれど、なかなかの破壊力でした。
 恋仲だと勘違いされて問題じゃないの? と他ならぬ主人公に尋ねられて、うろたえながら「い…いや、いいよ…別に大丈夫」って、なんだそれ最高だ。主人公も、いくら面倒なひとときを切り抜けて安心したからって、それを聞き流すんじゃない。

 そして、ゲームの13日目、クライマックスでの出ずっぱり場面のトークは、一言ずつがしみじみ来ました。
 やよいにその日まで数日間の行動を取らせた理由づけは今いちだと思ったけれど、そのことは、やよいが真相を知ってしまったならするだろう行動なり発言なりと矛盾しない。主人公と気持ちを伝えあうまでのやりとりの全てが好きです。
 このゲームは話が短いから、最初から最後まで読み直しても大した時間がかからない。だから、何度でも読み返したくなります。やよいが出てきたら文章スキップが止まる機能がついていたらいいのに。
 遺憾ながら、主人公関連は読み飛ばし。彼の言葉はくどすぎます。同じ意味を半分に縮めて伝えられるだろう。

 そんなふうに文章に接するのが喜びのこのゲームで、一旦クリアしたメンバーの自己紹介がおまけモードで増えているのを見つけたときには、うれしくなったものでした。
 各ヒロインがおまけの各パートに散る中、やよいの担当はゲームのヒント公開。自身の攻略ポイントについてあっけらかんと語る姿もまた良いものでした。
 もちろん自己紹介も。スタッフの質問に答える台詞が内輪受け臭くならないって、いい働きをしてるものだなあ。

 このゲームでこんなに楽しめるなんて、予想だにしなかった。
 そして、今この楽しみを共有する場にいないことを、そしてこれからも多分そういう遊び方をするんだろうことを、気の向くままの代償としてせいぜい覚悟しておくといいと、気分が揺れるたびに肝に銘じよう。
 たとえこのタイトルがWindowsXPにも対応された上でダウンロード販売に供されていると知っても、それで状況が変わることもないだろう。遊びは、まず自分のために。



8/23(日)

 昔のゲームということでいえば、新品のハードが売られなくなったゲーム機だけでなく、PCでもWindows98対応なんかだったりすると、今後思ったように遊べなくなる可能性も高くなるはずだ。
 遊べなくなると思うと途端に慌て出すあたりは全くゲームに振り回されっぱなしですが、そんなことで突如、昔のゲームを掘り出してみました。
 『タイムリープ』が意外に楽しめたことから、読み物ゲームに触れだした頃に出たものでもついていけるのか、知りたくなったこともあります。PC用ということで、18禁ですね。「ことで」って、視野の狭さを不必要に明かさなくてもいいのに。

 そんなこんなで『Silver Moon』(R.A.N. Software)を選び出しました。
 手元にあるのは2001年発売の廉価版で、おおもとは1999年発売だそうなので、まさに十年一昔前のゲーム。
 当時の自分がなぜこれに目をつけたのか覚えてないのですが、おおかたパッケージで泣いている娘のことが気になったのではないでしょうか。
 ほんと、どうなんだろう、なぜ遊びたいと思ったかくらいも覚えておけずに買うっていうのは。あるいは、こういうタイトルのゲームを持っていることが頭の片隅にあったことだけでも、良しとしなければいけないんだろうか。

 声がついていないこともあって次々に文章を進められ、2日間で全て読み通しました。
 15日間という短めの間に起こった世間的にはそこそこ大きなニュースと、それにちなんで致命的な影響を受ける主人公を巡るお話。
 手ひどくも甘ったるくもなく、さっぱりとした短中編を、という自分の潜在的な求めに驚くほど合致していて、つまりごく普通に楽しめました。
 本という形なら何百年も受け継がれてきたものが、少し発展してまだ10年と思えば、それも不思議ではないのかも知れません。

 ただ多分、このゲームはこれが出た時代の中で味わった方がもっと楽しめただろうとは思いました。前後をつなぐゲームたちによって、このゲームはより多くの情報を帯びていただろうと思われる、そういう内容だったからです。それによって、この内容の短さが多少補われていたのではないか。
 一事が万事というか、一つの例からの予想でしかないのですが。遠い過去の記憶から、『ONE』(Tactics)で雨の中佇んでいた茜のシナリオと、この『Silver Moon』の鉄のような生徒会長・巴のそれとに相似を感じました。
 そういう楽しみ方から切り離されるのは、プレイヤーの気分の乗りが不安定なので仕方ないのではあっても、ゲームにとっては不遇。この2009年の当方における勝手な連動としては、主人公の幼なじみで主役と言える、パッケージを飾っていた小柄なバスケット部員の名が「やよい」であったことくらいでしょう。
 キャラの紹介さえ省かれたこの廉価版からは全く予備知識が得られなかったので不意打ちを食らってびっくりし、そこからしばらくは、ああ、やよいは
どの世界でも元気で頑張り屋なのだなあ、と感慨しきり。どっちにも失礼な遊び方だ。

 『ONE』を引き合いに出すのは、それが自分の少なくとも読み物ゲームへの対応を180度変えたものであり、当方の偽物ぶりを否応なく再認識させられるため、避けて通るのが保身上有利。と半ば反射的に思うあたりは、歳月など関係なく刷り込まれていて、ボケでもしない限り消えることはないだろう。
 それを踏まえての今回の収穫は、大半を占める地の文に一つも句点が使われていないことを、ゲームを終える最後の最後でどうにか、それが鍵括弧に入った台詞と同じ扱いで、客観的なト書きではなく主人公の捉え方によるものだからだ、と解釈できたことではないかと思います。
 それによって、内容の引き締まった印象を台なしにしかねない悪文を、主人公のせいにすることができる。彼が引き受けていた教育環境は、言語の組み立てに問題を及ぼすレベルの劣悪さだった、他の人たちの発言がそこまで気にならなかったのはそのためで、ゲームが悪いのではなく主人公が気の毒だったのだ……
 だって、そうでもなければ、同じ文章ウインドウの中に「呼吸困難を起こし、屋上の床に呼吸困難を起こして倒れていた」なんて表記できないでしょう。いかに大事なことだとしても、その並びは気の毒すぎます。

 さすがにいつまでも混同するでもなく、やよいもメインを張るだけのことはある、まっすぐで気持ちのよいキャラだったし(この子はイベント絵より立ち絵のほうが断然かわいい)、この頃の特有というべきか各ルートで用意されているトゥルーエンド的なものでは「彼女たちの」その後が個別に描かれているのが嬉しかった。
 そういうところは、本という形式が楽しいのとは関係なく、このゲームが元々持っている魅力を楽しめたのだろうと思えます。そこに10年分の変化があるとは思われず、よって当方は十年一日の如くこうしていることが実感できました。
 それって、ギャルゲー的にちょっと理想すぎませんか。心配になってきた(←手遅れだろ)。



8/19(水)

 まさか今になって、『R-Type』1面の敵の攻撃パターンを詳しく調べるとは思いませんでした。

 例によって安売りと聞けば重い腰もすぐ上げて、Xbox LIVEアーケードより『R-Type Dimensions』を購入、そして例によって実績解除に頑張るという、様式美のようなひとときを過ごしました。
 『R-Type』シリーズ初期2作の詰め合わせに、死んでもそのままゲームが進んで通しプレイでの非撃墜数の少なさを競うモードと、ネットワークを介しての協力プレイモード、絵をリファインしたモード、さらに横から見た角度を変えられる謎モードをつけた一本。
 ふつうに遊びたいならプレイステーション版で安定なのだけれど、死に戻りがないモードは展開を一通り見たい向きには好都合でした。
 と、それでおしまいかと思っていましたが、強力な貫通弾である「波動砲」を一切使わずに最初の2ステージをクリアせよ、という課題があって、予想外に腰を据えてプレイする必要に迫られたのでした。

 特に厳しかったのが、1面ボス前に出てくる2体の中型機。波動砲なら2発で撃墜、破壊可能な敵弾もまとめて倒してくれて楽勝なのですが、単発ショットは敵弾と相殺されて敵本体に届かず、耐久力も高いこともあり、なかなか倒せません。
 また、敵弾の動きも斜め移動を基本にしたホーミング性能がいやらしく、逃げているうちに画面端まで追いつめられて死亡、という小憎らしい目に何度も遭いました。
 これはしかたないと、覚悟を決めて観察。
 相手の攻撃が「正面からの水平弾」と、「上方からのホーミング弾」から成り立つこと、それゆえ水平弾のすぐ下、本体の斜め下近くに陣取っていれば弾避けせずに撃ち込み続けられることに気づいて実践できるまで、それなりの回数の練習をこなしました。

 こんな短いエリアではあっても、まだ自分に攻略を組み立てる力が残っていることを確認できて、少し幸せです。
 そういえばどちらのタイトルも、ノーコンティニューでクリアなんか一度も出来ていないのだよなあ。気軽にダウンロードできるせいでカジュアル扱いされる不遇さよ(←廉価で落とした上でそう扱うお前が悪い)。



8/16(日)

 『タイムリープ』も今回で終了、ラストはその名を呼ぶ際の滑舌が皆を悩ませたに違いない、主人公の同級生の家に仕えるメイド、こもも。

 さすがにここまで来ると、このゲームのキャラの設定がお話主体でなく属性の需要の掛け合わせに起源を持つことを疑わなくなってきます。
 ただ、「主人公の住む神社とは全然関係ないけどメイドさん作ったので、それ用のシナリオを」という注文がいかに難題であるかは想像できます。
 着地点の手がかりにと目印を一つだけ置かれて、そこまでたどり着くために積み重ねた布石には、見るべきものがあったと思うのです。セットで動きがちだったメンバーも脇役も総動員で、何とかして主人公とこももをくっつけようと全力を尽くしている。いや、あくまで「全力を尽くす」のはゲームの外側にいる神様の事情で、キャラたちにその気はないのですが。

 また、このルートでは使われる言葉にお気に入りが何点もありました。
 「今朝も『ねぼすけな』顔してるね」「昨日はなんか『夜なべして』プリント作ってたみたい」「私のお弁当が『変ちくりん』だったせいなんですから」「越前屋くんは歩に『ぞっこん』じゃから」「湯気で『ほこほこ』している歩姉」と、いずれも『』は当方でつけたものですが、それまでと比べてどうしちゃったんだろうと思うほどツボに入った単語群が素晴らしかった。「越前屋」はこももの雇い主です。
 ただ、キャラ使い、言葉遣いの細部に神が宿った分なのか、大事な種明かしが驚くほど投げやりで、そちらには神は留守のようでした。
 前回のあゆむルートのエピローグでグラフィックを全てセピア色に染めたら、絵の構図・テキストともそのままで都合良く解釈できるのではないかと思いついたものですが、このこももルートでも簡潔な解決策はないものか。的の周囲にぐるっと遠回しの罠を仕掛けてから、おもむろに歩み寄って直接叩き切るようなぞんざいさが、どうにももったいない。

 そういえば、属性だけでなくシチュエーションの需要もあるのだろうけれど、ゲームの中で二度、日焼け止めクリームを塗ってもらうのもらわないのでもめていたシーンがあり、あれに込められた何らかのロマンが実感できなかったのには、(プレイヤー当人の)時代の流れを感じました。
 って、それがゲームを終えるにあたっての特記事項なのか。



8/12(水)

 間を挟んだことで『タイムリープ』を続ける気が戻ってきて、今回の騒動の張本人である過去からの時間移動者、あゆむルートをクリアしたのだけれど、うわーこりゃダメだ。

 ルート確定からの文章、特に短文で締めようとする文体に、他のルートでの堅実さから少し遠ざかって千鳥足の雰囲気が漂っていた気もするけれども、物語上意図されたというよりは狙いが定まらないせいで二転三転していた内容が与えた影響のせいかもしれないから、それについては多くを語れない。
 何より、もたつきながらも準備していたように見えたラストをいとも簡単にその場の思いでひっくり返した腰の座らなさがいただけません。
 悲劇はきちんと描かないと消化されない。別れを乗り越えて何とか幸せにしてみせるのが、腕の見せ所なのではないでしょうか。

 気になった点をもう一つ。
 他のルートではターゲットが絞られても他のキャラがうまく顔を出していて、この日記で過去のクリア対象の名前しか出さないのは旧来のギャルゲーでの1シナリオ1人集中制度を踏襲したものだったけれどそれも要らぬ習慣となったか、と思いかけたのを覆すくらい、このあゆむルートでは他のキャラにお呼びがかかっていなかった。
 それの何が残念といって、他者の目線で描かれることで、当事者を経て読む側に間接的に与えるはずの良いダメージ、すなわち恥ずかしい思いができなかったのが残念でなりません。3つ年下の背伸び少女に夢中になる図がどれだけ赤面ものか、同い年の悠ルートで味わったのの数倍はあろうと期待していただけに肩すかしを食らった気分。この年齢差カップルを当方がやすやすと読み通せるなんて悔しい……(←どんな被虐体質か)
 とにかく、周囲の物わかりが良すぎた。そんなに気を利かせたらいけません。歩ルートや悠ルートでのあゆむの、何と生き生きとしていたことか。

 さて、残すはあと一人ですが、自分は多分このゲームを面白い順に遊べたと思うので、少なくとも最初に好印象を抱いた事実は消えないし、まあ何だ、あまり期待しないで臨みます。
 この思いが失礼になればいいのですが。



8/9(日)

 『Virtua Tennis 3』を通じて、サーブを打てることがどれだけ有利かを改めて学んだ気がします。
 上へ放り投げて落ちてくるボールは、飛んでくるボールとは比較にならないほど狙いの利く、ゲーム随一のチャンスボールなのであり、だからこそ確実に、相手コートの隅に決めなければならず、できればその後の返球を打ち込んでポイントを取りたい。
 相手からのサーブを受ける番ではその事情が逆になるため、レシーブで始まるゲームをものに出来たときのやる気はぐっと高まります。

 『Virtua Tennis 3』の世界ランク1位決定戦では、そのサーブに絶対の自信を持つトッププロのRoddickとがっぷり四つの勝負を戦いました。
 1度負けると次の対戦はゲーム内時間で1年後、そんな面倒くささの中を、初め2度はストレート負け、3戦目でゲームを取れ、4戦目は残り1ゲームまで追いつめながら大逆転を許し、とにかくサービスゲームを守ることを金科玉条と心がけた5戦目でようやく勝利を得た次第。
 最初と最後のゲームのサーブ権が当方に回ってくるシステム上の強みを最大に生かした辛勝でした。普通のテニスのように最終ゲームがタイブレーク制だったら、制覇の喜びはまた先延ばしになっていたかも知れません。
 それにしてもRoddickは頑張りすぎだと思った。

 喜びも束の間、ボスキャラとして出てきた往年の伝説プレイヤーにダブルスでこてんぱんにのされ、ここで力尽きた。
 この場合は気力の方が大きいです。ここに来るまでそれなりに努力した。その上で手ひどく負かされてまだ続けたいかと考えたとき、肯定的にはなれなかった。
 球のコースやスピード、立ち位置などのほんの僅かなずれの積み重ねで結果が変わるのに、それがうまく積み重なることを前提とした課題や関門が待っている。その間口の狭さと真っ正面から取り組み続けられるほど、ゲーム精神年齢がもう若くはなくなってしまったということなのかも知れません。
 リアルの中にお遊びも交えたグラフィックは凝っている、中継仕様のカメラや放映的な効果音は素晴らしい、同程度の実力で対人対戦したときのツールとしてはとても良い。それらが、本編を遊んで溜まるだろうフラストレーションのガス抜きとして用意されているように感じられました。
 もったいない遊び方をしてるんだろうと、自分でも思います。



8/6(木)

 『Virtua Tennis 3』で、明らかに自前で技術が上がったと感じられる操作法にたどり着きました。

 このゲームではキャラが移動「し始めるとき」に小さく、「それまでの動きと反転するとき」に大きく、たたらを踏んで隙ができます。その間に鋭い角度のボールを打ち込まれると、とても届かずなす術がない。
 そこで、移動方向を変えるときは、右から左に移るのでも、スティックをぐるっと回して、一旦上下方向を介してからにすれば、余計なステップを踏まずに動ける。
 しかし、とっさに逆方向に打たれたのを見ると、操作に気を回すより早く指が球を追いかけて、直ちに方向転換しがちです。まだそのような腕前。

 無意識にスムーズさを実践できるまで、ただひたすら練習するしかないのか。
 それも一つの手だし、強くなった頃にはそれも身につけているかも知れないけれど、過渡期の今は対策を講じよう。
 ということで、相手がショットを打つころ、打球の方向が定まる直前には、あらかじめ上下方向に移動していることにしました。
 これなら、左右どちらに振られても転換は90度で、引っかかることなく追いかけられる。

 これで劇的に動きが変わりました。
 いや、このゲームの成長システムには、フットワークの向上に伴ってのステップの滞り時間の短縮化とか入力受け付け時間の緩和とか、上達をサポートする見えないパラメータの変化もあるのかも知れなくて、全面的に進歩の賜物だと鵜呑みには出来ないけれど(成長要素を取り入れると、そういう疑心暗鬼も秘めることになる)、あらかじめ用意されたプロ達を操ってのプレイでも滑らかに動けるようになっているのだし、ある程度うまくなっていると受け取ってもいいんじゃないだろうか。
 おかげで、ネット対戦でも完封負けが何点か取れるくらいに、1ゲーム止まりだったのがタイブレークで落とすくらいには戦えるようになってきて、これは楽しくなってきました(←勝敗にはまだ目をつぶりたい)。



8/2(日)

 『タイムリープ』がなぜか一段落した気分になってしまい、小休止が入って、専ら『Virtua Tennis 3』を遊んでおります。
 ええと、日本で『パワースマッシュ3』という名前で、アーケード版とPS3移植版が出ていて、Xbox360版は海外だけで名前も変わっている、ということでいいのかな。日本の本体でも動くというから、その海外版をやっているところです。
 まぎらわしい。Xbox360版を日本で出せば万事解決だったのに(←個人的な話にメーカーの手を煩わせない)。

 コンピュータの露骨な手加減ぶり、それと表裏一体の「簡単に一定以上には進ませないように小細工をしているのではないか」という難しさの段階の上がり方が、遊んでいて気になっています。
 「ボールが来るところで待って、ショットボタンを押せばいい」とだけで実現されているとはとても思えない、速くも鋭くもある返球の数々に、粉砕されあるいは左右に振り回されてとてもくたびれる(プレイヤーは親指のみが)。
 そんな段階でネットワーク対戦に無謀にも飛び込んでみても、予想通りとはいえ厳しくあしらわれるのであり、するとコンピュータにずるいところはなくて、やはり何かしらの必殺技があるのだろう。身につけたいものですが、体得するまではなかなかに辛い日々です。
 ショットや脚力が数値化された自作のキャラが成長していくモードがあるのですが、試合に勝てたのが自分が上達しているからかキャラが強くなったからかがどうも分からない。そこは対人戦で知れ、ということか。

 そういったもやもやを全て吹き払うかのように試合を見渡すカメラワークが素晴らしいので、何とか救われています。
 だいたい、試合の最初に「LIVE」と出るのが、このゲームがテレビ中継のように見せて楽しむことを意図しているのを示していて、生でプレイするのを見ているのだからLIVEで当たり前、とは野暮な言いぐさというもの。
 敵味方問わず、ポイントが決まるたびにクローズアップされる選手の仕草見たさに、試合にどんどん挑みたくなります。
 あと、ネット対戦で、通信が合わなくなるのか何かでゲーム進行が止まったとき、「言ってなかったけど今のはレット(サーブがネットに当たってから相手コートの狙いの範囲に入るケース。そのサーブがやり直しになる)だったから」と、後出しで何度でもそのポイントをやり直させる強引さが気に入りました。
 審判がそういうなら仕方ない。いや、ラグだらけで進むよりずっといい解決策だと思います。この仕切り直しがそういう問題で起きているのかは分かりませんが。
 何だかんだで楽しんではいるのですよね。腹立たしさの成分がけっこう強いけれども。



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