0 day Attack on Earth

「四角いリングを回る掃討戦」



 『0 day attack on Earth』は、ステージクリアタイプの全方位型シューティングゲームです。
 ステージは四角のエリアで区切られ、その中に複数の倒すべき小ボス(以下「ターゲット」と表記)がいます。ライフとストックを併せ持った自機を操り、それらを時間内に全滅できればクリアです。
 大きな3つの「地区」があり、それぞれが6ステージと大ボスの計7面から構成されています。全21ステージを突破できれば、めでたくゲーム終了となります。

 このゲームの特徴に、「視点を回転させられる」ことが挙げられます。左右それぞれ割り振られたボタンを押すと、敵機も背景も自機を中心にして回るのです。
 あらかじめ全方向に撃てるショットがスティック操作で割り当てられており、画面の回転機能と役割が重複するようですが、2つの点からその有効性が実感できます。
 一つは、自機が画面中央から若干下側に位置し、かつ画面がやや斜め見下ろし状に傾いているため、正面方向の方が見晴らしがよく、軸合わせもしやすいこと。敵を迎え撃つにも障害物をかわして移動するにも、遠くから見えた方が対処がしやすくなります。
 もう一つは、自機の移動とショット方向の変化の両方で同時に2本のスティックを動かすよりも、自機移動とボタンによる画面の回転を活用し、ショットの方向は固定した方が、安定して攻撃できること。

 本作の敵は全般的に堅く、撃破までには多くの撃ち込みが必要です。また、敵、特にターゲットの攻撃はほぼ全て、敵弾にしろ体当たりにしろ、自機狙いではなく全方位へ向けて回転してくるもので、絶えず移動しながらの回避と攻撃が求められます。
 その思想はステージの序盤に顕著に現れており、タコに似たターゲットが足を伸ばして回してくる攻撃は、その頻繁さと、自機のショットの射程が足の長さよりも短いという点から、本体を軸に回転する足の間に入って敵に撃ち込む(=自機が敵機を中心に回るように、移動と画面の回転を調整する)動作をマスターする必要を示しています。
 これらの攻撃の特徴は、画面の回転という特徴をよく生かしたもので、操作に慣れて滑らかな円運動の末に敵を倒したときの快感につながっています。
 なお、タコ型ターゲットの足の間にいることの安全さと引き替えに、足に直撃した際には、その後のほとんどの敵が与えるダメージ(体力の1/4)の2倍とお高めです。最初のステージで出会う敵から2発食らって死亡とはスパルタの気が過ぎる気もしますが、位置取りの大切さを教えるために我が子を谷から突き落とす獅子の愛情と解釈しました。

 全21ステージは数字だけ見れば長丁場ですが、このゲームは持ち時間制を採用。これがスピーディーなプレイを、ある意味容赦なく要求してくるので、決してだれることはありません。
 ゲームクリアの観点から見れば、規定時間が切れたなら、残機がいくらあろうが直ちにゲームオーバー。地球の侵略に来たというエイリアンは、1ステージの防衛に5分以上待ってくれるほど呑気ではありません。
 前述したように敵は体力が豊富で、倒すのに手間取るとあっという間に時間切れ。ターゲットを倒されまいと自機の行く手に立ちふさがるのは、突然湧いては自機狙いの弾を撃つザコに挟み撃ちで即死を狙うザコ、自機に取り憑いて体力を吸い続けるザコに、ゆっくりとしかし確実に自機を追いつめる長虫タイプのザコと、小さめの敵でさえひとくくりに出来ない個性を持っています。
 それに加えて、ターゲットと同サイズでありながらお邪魔キャラとして無限に現れる中型の敵もおり、どの瞬間を取ってみても何らかの敵に追われ続ける展開が待っています。
 幸い、どの敵にも明確な対応策があるのと、よほど逃げ回り続けない限り同時に多数種のザコ敵は現れないことから、各々の敵が現れたらすぐに対処すれば生き延びていけるようになっています。急がば回れというやつで、敵から逃げることは問題の解決にはつながらないのです。

 そのような性質から、全方位に広範囲の任意スクロールというゲームでありながら、ひとたび動き始めると、ターゲットへの移動と撃破までの滞在とが組み合わさり、一連の流れが生まれます。
 その流れに身を置くと、ターゲットを始末することで小さな一区切りの安堵がもたらされます。放出される体力回復アイテムを回収し、束の間の休息を終えて、次のターゲットに急ぐのです。
 移動の際には、使用制限があるものの時間で回復するブーストがアシスト役となります。単純な移動だけでなく、敵の不意打ちをかわすにも重宝なブーストは、適切な速度を得るために「一瞬だけふかす」使い方が良いでしょう。ガス欠の心配のみならず、ときに突然現れて行く手をふさぐ雲型の障害物との衝突事故を避けるためにも、全力疾走はお勧めできません。

 このゲームの良いところは、とにかく早くクリアすることがスコアの上がる一番の要因であることです。先ほどの時間切れ問題に加えて、この点が、攻略速度を速める正の側面です。
 残りタイムのスコアへの換算率が他の要素を圧して高いため、何はともあれ素早いクリアを目指すことが、スコア稼ぎの上でも最適の道。
 下手に粘らずに、迅速にターゲット討伐に邁進することこそが本作におけるプレイスタイルの基本なのです。とても良い流れのゲームだと思います。
 もちろんそれは基本であって、さらに得点を得たいなら、対応必須な敵の他は、ターゲットの爆発・変形エフェクト中の待ち時間を見計らって倒すなど、工夫の余地もあります。

 各地区の最終ステージで待ち構える大ボスの攻撃は、厳しい時間制限に照らしてさらにシビアで、殻にこもって攻撃を受け付けなかったり、いやらしいことに画面外へのジャンプで時間を稼いだり、長い全身が当たり判定なのはいいものの広いエリアを高速で動き回るためになかなか出会えなかったりと、それぞれ防御・回避能力の高さを誇ります。
 カウントダウンにおびえながら、タイミングを見計らってボムも投入し、どうにかボスを倒しきったときの感覚は、言葉にするならばやはり「安堵」であり、それは自機のみならず、襲われた地区の住民が無事救出された際の思いと共通しているに違いありません。

 特にボスに至る直前のステージで、楽しさが最高潮に達します。
 一つ一つは慣れていても、次々寄せては返す多種で高密度の攻撃に、回ったり回りやめたりしながらその都度対処し、速やかな全滅を目指す、その忙しさが大きな満足感を与えてくれるゲームです。

 ……と、以上は全て、リリースされたときのバージョンを元にしたプレイ感覚です。
 その後施されたアップデートによって、ステージごとの持ち時間の大幅な延長、タイムのスコア変換効率の低下、自機の移動速度や挙動の変更、敵からの体力回復アイテムの放出頻度増加などが図られました。
 いずれも長時間プレイを是とするもので、特にスコア関連の調整は、これまでと正反対の粘りメインのプレイへと方針が変わらざるを得なくなりました。ステージクリアを急いでいるときの、あのひりひりした焦りとそこからの解放を感じられなくなるのは、痛恨と言えます。
 Xbox360のシステム上、アップデートを打ち消すことができますが、他のゲームの更新も消してしまうほか、協力プレイやスコアボードなどXboxLIVEに接続する恩恵が受けられない(接続するとまたアップデートされてしまうから)というデメリットもあります。

 旧来のバランスで遊べる、例えば「クラシックモード」などと名付けたメニューを追加して欲しいと、心から思います。クリア主体でもスコア目当てでも、どれだけ絶妙なバランスの元にあの時間設定がなされていたか、味わえないのはもったいない。
 これが、従来のバランスが好きなら援軍はないから、ローカルで孤独な戦いに臨め、という意味合いででもあるのなら、悲壮感も独占気分もくすぐられて納得しないでもありませんが!

('10/11/21)

0 day Attack on Earth

発売元:スクウェア・エニックス(開発元:ガルチ)
機種:Xbox360
発売日:'09年12月23日
プレイ時期:'09年12月〜'10年2月
購入価格:1,200MSP
ノーマルモード、難易度Hardでノーコンティニュークリア(リリース初期バージョン)



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